ストリートファイター6:独断偏見エド解説

右手の上にサイコパワーの球体をお出ししているエドの図。 ストリートファイター6

はじめに

 アプデで追加されたばっかりのエドに、早速独断と偏見でキャラ評と解説をつけていきたい。基本的にキャラ評には「とてもよい」しかつけないことには留意して頂いた上で、まずはそのキャラ評をどうぞ。

キャラ評

評価:とてもよい

 フリッカージャブを活かした中・遠距離の立ち回りを得意とし、チャンスを掴んだ瞬間に一気に攻める、まさしくアウトボクサーの戦い方をするキャラだ。といっても、ストリートファイターらしくサイコパワーの飛び道具を扱いこなすのだが。

 ストVのときと相違点多数、かなり別キャラになっている。Kボタンでキックが出ていたのがフリッカーになり、クラシックでの下段技がどれもPボタン、ストVでは特徴的だった必殺技コマンドも今作はモダン操作があるので一般的な波動Kやら昇龍Pやらに変化。どちらかといえばモダン操作が従来のものに近いか。

 牽制技で相手との間合いを保ちつつ、隙あらばサイコフリッカーでの引き寄せやサイコシュートの発射で有利Fを得て通常投げを狙いまくり、投げ抜けした相手にシミーや垂直から手痛いコンボを喰らわせる。そしてリーチの長い技に対処するべくパリィやインパクトをした相手には、一部技の溜め動作をキャンセルできるキルステップで透かして反撃。ふてぶてしく相手を翻弄していきたい。

性能解説

 エドは地上中段もコマンド投げも持たず、崩しのレパートリーがやや少ない。しかしその分、距離を取っての立ち回りに優れ、しかも強引に密着有利を取りに行く方法をいくつも持っている。

 まず通常技の解説から。Pボタンではスタンダードにパンチ技が出る。連係やコンボで主軸になってくる技だ。特徴的なのが、下段技がしゃがみPで出ること。めくり技もJ中KではなくJ中Pである。他のキャラと違って頭がこんがらがりやすいか。 Kボタンで出るフリッカー技は、極端にリーチが長い。牽制で役に立つ上に、備え付けのTCや必殺技キャンセルを活かし、先端当てからでも攻め込めたりインパクトを返せたりする。エドの地上通常技にはどれも、連キャンなりTCなり何かしらキャンセルルートが備わっているのが特徴か。

 必殺技っぽい挙動の特殊技(バーンアウトを削れないがDRで出すと有利F増加)であるサイコナックルは、弱サイコシュートなどの弾を盾にして攻め込む際、浮かせコンボの追撃などに使うのはもちろん、立ち回りでいきなり出していくことも可能。おまけに前方キルステップで溜めをキャンセルできるので、パリィで防ごうとした相手を投げたりなど、攪乱性能もある。丸1秒溜めると弾消し性能もつくので、変則的な弾抜けにも使えるかも。地上ヒットでもガードでも位置を入れ替えることができるが、相手が画面端に居る時だけ裏に回らずコンボ始動か密着有利になる、至れり尽くせりな性能。発生の遅さとインパクトへの無防備さが弱点か。

 エドの主軸となる必殺技『サイコフリッカー』は、ホールドせずに出せば長い牽制技・対空技になり、ホールドすると相手を引き寄せては密着有利で攻めることができる。立ち回りでの牽制や弾消し、斜め上を向いた強版での先読み対空が可能で、地上パニカンなら膝崩れとなってDRからコンボにも行ける。対空や固めの通常技をキャンセルして連係するのも有効。

 ホールドしたサイコフリッカーは、ガードした相手を引き寄せて密着有利になり、ヒットすれば浮かせてコンボが始まる。これまた通常技キャンセルで強引に攻めたりコンボしたりするのに使えるし、起き上がりに重ねて引き寄せて投げを迫る「サイコ柔道」も可能。パリィで防がれると引き寄せる距離が大幅に短くなるのだが、それにも対応策はある。ホールド動作を前方キルステップか後方キルステップでキャンセルできるので、パリィやインパクトを読めれば対応可能なのだ。

 そして、ODフリッカーがとにかくヤバヤバな技。この技はホールドなしに即相手を引き寄せることができて、ガードされたら密着有利、ヒットしてたらそのままコンボに行ける。発生が少し遅いので防御行動に割り込まれる、通常版ではホールドやキルステップができるがOD版にはない、というのが弱点か。パリィやインパクトや無敵技を狙いたくなればなるほど通常投げや様子見の圧が増すので、キャンセルでどんどん出して相手に対応を強いていきたい。

 ストVのサイコフリッカーは「ワンツースリー!」とジャブを連打する技だったが、その性質は新技のサイコブリッツとフリッカーコンビネーションに分かれて継承されている。ストVでサイコアンカーと呼ばれていたものが、スト6のサイコフリッカーに近い。紛らわしすぎる要素である。なおスト6エドの称号に『ワントゥスリー!』があるが、今作のエドはそのボイスは出さず、代わりにアバターバトルの自キャラがサイコブリッツを使ったときに言ってくれる。個人的にはエドにも弱版で言って欲しかった。

 なんなら他にも紛らわしい要素はいくつもある。ストVのキルステップは、移動技タイプのVリバーサル。だがスト6ではむしろ、VスキルII『サイコスウィング』に近い性質に。そしてVスキルIIの別入力版『サイコスマッシュ』だが、こちらのモーションと弱サイコアッパーと動作がよく似ている(画面奥の腕でアッパーアット)。

 通常技もかなり紛らわしい。エドにボクシングを教えたバイソンはKボタンでフックを出し、下段技のコマンドは一般的な屈K。しかしエドはフリッカーがKボタンの縛りがあり、バイソンのものによく似たフックもPボタンに格納した結果として屈Pが下段技、ややこしくなっている。

 ちなみにバイソンの屈強Pは『ライジングアッパー』という技名、ご存じルークの必殺技とも餓狼伝説のテリーが出す特殊技ともその他多くの格ゲーのものとも技名が被っていることで知られる。まずこれがややこしいのだが、この技を継承したと思しきスト6エドの立ち強Kは『ライジングフリッカー』、強力な通常技対空だ。もうややこしくて仕方がない。こういうのいいよね。ターンパンチがインパクトになったのもアツいよね。

 奮迅脚のような特殊技っぽいが必殺技扱いの移動技、キルステップがエドのかなめ。前方と後方の2種類があり、前方のあとに追加入力するタイミングで更に2種類のパンチ技(必殺技なのでバーンアウトへの削りあり)を使い分けられる。サイコナックルやサイコフリッカーのホールドを解除する前述の用途はもちろん、やや難しいが派生技2種を浮かせコンボのパーツにする、対空や固めの通常技キャンセル前方キルステで密着して相手を投げたり後方キルステで距離を取ったり、またはパリィDRの慣性を上書きして相手の置き技を空振りさせるなど、様々な使い方で相手を幻惑させられる。起き攻めで単に近づくときは、全体動作が短い前ステのほうがいい。

 その場に弾を設置するサイコスパークは、それ単体ではとてもリーチの短いだけの技。しかし、サイコシュートに派生することで弾を撃ち出すことができる。スパークの設置という手間を踏む分、シュートしてからの隙は一般的な飛び道具より少なく、しかも弾速も調節が効く。単なる飛び道具として使うと弱いが、相手の弾をスパークで消しつつ強シュートで反撃したり、弾速が遅い弱シュートを追いかけて攻め込むなど、ひと工夫すると強みが引き立つだろう。コンボの際にも、「浮かせた相手にスパークを当てて更に浮かせる→弾を発射するが、そちらは相手にヒットさせない→打撃で追撃し、後ろから相手を弾に押し当てる→更に追撃」とすることで強力な運び性能を引き出すことも可能。

 ODスパークとODスパークはそれぞれ2ヒット技で、足せば驚異の4ヒット技(つまり密着ならアーマーブレイク性能が高い)。そしてDゲージの追加消費もなく、最初の2本分だけでシュートまで出せてしまう上に、追加入力のボタンで弾速打ち分けもついてくる。弾の撃ち合いでも使えるし密着ガードでも確定反撃がないので、様々な使い方ができるだろう。

 サイコアッパーは、1F対空無敵を持つ強力な対空技。ただしいわゆる昇龍タイプと違って飛び上がらないのと、少し発生が遅いのが特徴。その場で突き上げる弱版は動作がクイックで、早めに対空したり浮かせコンボに組み込んだりすると追撃が可能。中と強は前進しながら放つので、遠めの対空やコンボで使える。

 ODアッパーは完全無敵になるが、発生が早くない。起き上がりに合わせた弱攻撃に確定しない、いわゆる安全重ねの恰好の的。SA1とSA3も含めエドの無敵技はどれも発生が遅く、打撃重ねへの対処には困りやすいかも。しかしODアッパーは前進力に優れるので、弾抜けや技の派生択への割り込みでは役に立つ。無敵技があるというだけで圧があるので、要所要所で見せつけていきたい。

 サイコブリッツは、主にコンボで使う技だ。よほど先端じゃない限りガードされると反撃が確定するのに注意。小技ヒット後は中ブリッツやODブリッツに繋ぐことが多いだろう。えげつないハンドスピードを見せつけるODブリッツが優秀技で、ガードされても反撃確定なし、ヒット時は優れた火力、おまけにSA2でキャンセルが可能なので無数の可能性を持つ。最終段を出す前にキャンセルすると地上喰らい、最終段でキャンセルすると浮かせになるので、それも使い分けてコンボしていきたい。

 ここからはSAの解説に移ろう。SA1『サイコストーム』は、リーチの長いフリッカージャブを高速連打して相手をボコボコにする技だ。SA1共通の調整として、打撃と投げに無敵があるが飛び道具無敵はない。発生が遅いので小技に確定しないのと弾抜けに使えないのは弱点だが、代わりに浮かせコンボの〆ではリーチの長さを活かして使いやすい。

 SA2『サイコキャノン』は、エドで最も印象的なSAだ。多段ヒットするドデカい弾を発射し、ヒットすればもちろん強力、ガードされても鬼有利で崩していける。弾速の打ち分けもあるので、使いこなせれば無限の可能性を引き出せるだろう。ダメージ重視コンボ・運び・入れ替え・隙消し・確定削り・崩し・対空・弾消し、いくらでもポテンシャルが見いだせる。前歩きで相手を押せば連ガが途切れて投げることができて、しかも前投げなら残った弾が起き上がりに再び重なる。拘束時間の長さを活かして、昇り中段や透かし下段や表裏択を気軽に仕掛けまくるのも良い。ヒット時はSA2のコンボを伸ばしてSAゲージを溜め、最後にSA1で〆ることまでできる。SAゲージをこの技に回していくことは多いだろう。

 SA3『サイコチェンバー』は、ダッシュストレートを放って相手をロック、サイコアンカーで磔にして文字通りのサンドバッグ扱いにする技だ。エドの無敵技の中では一番発生が早く、割り込みや弾抜けに使える。サイコフリッカーやサイコスパークに仕込めば、弾消しが成立した際にだけSA3を出すこともできる。

 モダンエドの解説に移ろう。クラシックは一般的なキャラとP技・K技が入れ替わっており、めくりで使いがちな技もJ中KからJ中Pになってややこしい。しかしモダンならPとKの区別がないのでここで混乱する必要がなくなっている。

 また、他のモダンキャラにはない独自の強みが一つ。それは、モダンなのに小足を連発できるということ。基本的にどのキャラも屈弱の1段目かアシストコンボの1段目だけが小足で、2段目以降に小足を出す「コアコア」や「コパコアコパ」ができないのだが、エドだけはしゃがみ弱Kが連キャン非対応なのでしゃがみ弱Pだけを刻める。しかも連打キャンセルで立ち弱に切り替えれば立ち弱Pも出せるし、逆にアシ弱1段目(立ち弱P)から屈弱Pに移ることもできる。マニアックなところではあるが、明確に崩しの強さに関わってくる違いだ。

 モダン操作のエドが完全に失う技は5個、どれも通常技だ。5F技なのに長い屈弱K、対空性能のある長リーチの屈中K、空対空に向いたJ弱P・J中K・J強K。ストVの時点で特殊な必殺技コマンドだったからか、モダンで出せなくなる必殺技はない。

 4F技のリーチが短いエドは5F屈弱Kで補いたい状況がしばしばある。コブラパンチのパニカン後や弱ブリッツの暴れ潰し後なんかは屈弱Kでないとコンボできないし、5F確反や5F割り込みが求められることは少なくない。ただ、残りの技は別技で代用できるっちゃできる部類。上述の小足連キャンも含め、モダンで出せなくなる技はほとんどないのが強み。

 ワンボタン専用のサイコスパークはそもそも通常・ODの2種類しかなく、追加入力のサイコシュートはボタンを変えればクラシック同様に弾速変更可能。SA2『サイコキャノン』に至ってはむしろクラシックより優れており、暗転後にレバー入力で弾速を選べるようになっている。出せない必殺技がないので、コンボの質もほとんどクラシックにひけを取らないはずだ。

 ODアッパーやSA3での弾抜け、早出しが求められる弱アッパー対空と追撃、弾のジャストパリィに毎回仕込める弱フリッカー、立ち回りでもキャンセルでもいきなり出すのが簡単になったSA2など、ワンボタン必殺技との相性は極めて良い。微妙リターンとはいえ自動ヒット確認つきの弱アシストコンボ、難しい目押しを自動でこなす中・強アシストコンボも安心感があって使いやすいか。モダンエドはかなりオススメできる……というか、5F屈弱K以外には目立った問題が見当たらない。個人的には上級者にさえモダンエドを勧めたい。

 ちなみに2024年3月27日現在、公式のフレームデータに書いてあるモダンエドのサイコシュートの威力にモダン補正が適応されてないように見えるが、それは間違い。SP以外のボタンで追加入力しても普通に8割ダメージである。

おわりに

 エドをたっぷり語れてとても気持ちがよかったので、もう少しだけ語る。K技が消えたついでに、個人的に動きがダサいと思っていた必殺技「サイコライジング→サイコスプラッシュ」が消えたのにとても納得している。フリッカージャブを取り入れたボクサーキャラとして素晴らしい仕上がりになり、なんなら初公開時にイケメンすぎて「えっストリートファイターとは思えない正統派イケメンじゃん!? デビルメイクライかァ~!?」と震えたほどで、ビジュアル面では文句なしに大満足である。

 というわけで、初心者も上級者もエドを、特にモダンエドを使ってみてほしい。以上。

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