はじめに
格闘ゲームでは、知識量の差が試合中でも大きな差となって現れる。上級者同士なら必須知識は互いに把握済みなので、腕前や読みで競い合える。しかし格ゲー覚えたての初心者同士の場合は、少し知識で先を行くだけで結構リードできるもの。今回は、基礎知識も応用知識も含めて、15ヶ条ピックアップした。
攻撃編は5選、防御編は10選となっている。なぜ防御編の紹介が多いかというと、攻撃はボタンを押すだけで相手に押し付けられるのに対し、防御側は次に何が来るか分からず対処が大変だからだ。独断の難易度つきなので、難しそうなのをスルーするのも良いだろう。いつか対戦で「ここに書いてあったコトって、そういうことだったのか!」となった時、それから練習するのも悪くない。
詳細な解説は折り畳んだり別ページに誘導したりしているので、どんどん読み飛ばしてもらって構わない。では、比較的難易度の低めな攻撃編5選から紹介していこう。
防御編へのリンクはこちら。
1.インパクトで壁ドンする際は、通常技キャンセルか起き上がりへの重ねで使う(ややかんたん)
画面端に居る相手を問答無用で壁に貼り付けてコンボができる神技、ドライブインパクト(以下インパクト)。相手を追い詰めた状況では積極的に出していきたいが、ジャンプで回避されたりインパクト返しを決められたりした人も多いだろう。だが、なるべく返されないような使い方をすることで、大幅にリスクを下げられる。
まず、対戦を振り返ってみよう。インパクト返しが成立する時は大抵、何か技が当たっているはずだ。弱攻撃が当たったり、ジャンプ攻撃が当たったり、そういう瞬間の「ヒットストップ」でインパクトを確認しているはず。ということは、相手が技を出せなければ反応し切れないということ。ジャンプ攻撃にさえ毎回対空が出せないのだから、そっちより早いインパクトには反応なんかできっこないという寸法である。
相手が攻撃やジャンプで割り込めないようにするには、「攻撃を当ててひるませる」か、「ダウンしている相手の起き上がりにちょうど重ねる」か、大別してその2種類が有効。実はインパクトは、必殺技と同じように通常技をキャンセルして出すことができる。これによって防御側がインパクトを返せるのと同様に、攻撃側が不可避のインパクトを出せるというわけ。とりあえず「強攻撃→キャンセルインパクト」としてみたり、「必殺技でダウンさせる→起き上がりにインパクト」としてみたりすると、相手からすれば非常に対応しにくくなるだろう。
両方の性質を兼ね備えたものとして、「浮かせコンボ中にあえて通常技で追撃して空中復帰を誘発させ、キャンセルインパクトを着地に重ねる」というものがある。これは特に反応が難しいので有効だが、コンボを完走すれば確実にダメージが出せるので、時と場合によりけりか。
インパクトで壁ドンを狙う際、相手が動ける猶予が短くなるほど様々なメリットがある。おおよそ相手が動ける猶予が7~5Fほどなら、ジャンプした相手が空中に居てもインパクトが足元に当たって貼り付けられる。動ける猶予が4F以内ならジャンプされる前に当たるし投げにアーマーを掴まれず一方勝ち、3F以内なら最速弱攻撃に相打ち以上で一方的に勝つ。「2F」のみ、マリーザやJPはスクトゥムやアムネジアで割り込めるのだが、こういったキャラでさえ「1F空き」と「動ける瞬間にピッタリ重なる」にはもう割り込めない。というわけで、これがDゲージもSAゲージも尽きているキャラは完全に不可避になる使い方だ。
だが、一番強い強攻撃のキャンセルで当てていけばよいというわけでもない。相手がバーンアウトしているときやDRから出した通常技などではガード硬直が伸びてインパクトが連続ガード(以下連ガ)になり、「LOCK」と出て壁ドンにならないことがある。自分のキャラごとに適切な起き攻めでの重ねと非連ガ連係を探すと良い。基本はDR強攻撃キャンセルで、バーンアウトした相手にはDR中攻撃キャンセルがおすすめ。
ちなみに、コンボでインパクトが連続ヒットすると壁に貼り付かない。これはこれで普通に起き攻めチャンスなので、きちんと判断して攻め続けよう。インパクトがヒットすると相手のDゲージが1本減少するので、バーンアウトはきっともうすぐだ。
2.中距離での生ドライブラッシュは強いし、ゲージが豊富にあるなら中足ラッシュしまくる(ふつう)
今作を象徴するシステム、ドライブラッシュ(以下DR)。相手に向かって思いっきり突っ走り、強化された通常技で殴り込みをかける。この技は、とても強い! ぜひ使いまくって欲しい。とりあえず生DRで攻め込みまくるのが吉。
最初にDゲージを消費してしまうとはいえ、このゲームは相手に技を当てるとDゲージが回復する仕様もある。何発か通常技を当てて必殺技で〆る基本の型を行えば、ガードさせた分だけ相手のDゲージは減り、自分のDゲージは回復。生DRし続けてれば相手が先にバーンアウトする寸法なので、恐れず使いまくろう。
DRの出始めでは一瞬だけ時間が停止する仕様がある。防御側は「相手がラッシュしたな」と、攻撃側は「あ、相手がジャンプしてるな」と、何かしら反応に使えたりする。そしてDRしてすぐは急停止ガードもできない。なので、生DRには時間停止を確認して攻撃が確定したりする。……だが理論上は、上級者でもそうやすやすと生DRを止めてくるわけではない。反応できる時間は一瞬だけだし、そもそもDRを止めるために出した技が当たらない距離から走ってきた場合は確定しないのだ。
中距離から自分が生DRを仕掛けてみたとしよう。ほとんどの通常技は滑るから、相手が反応して置き技を出してくると当たってしまう。しかし、投げや必殺技などといった通常技以外の行動を出すと、あの緑色の演出も慣性も消えて滑りが止まる。つまりこれでもう2択になっていて、「置き技を出さないなら通常技を当てられる」、「置き技を出したなら必殺技で一瞬止まって空振りを叩ける」、というわけ。あるいはルークのサプレッサーなどの特殊挙動の通常技でも可能(技そのものが一瞬ブレーキする挙動)。
インパクトならアーマー効果があるので、OD無敵技を出されても2ヒットまで耐えて、空中ヒットさせたり別の技で落下を叩いたりできることもある。DRに反応してジャスト狙いパリィを押してくる相手には、逆にそのまま走って言って投げが通る。DRからどの行動を仕掛けるか、タイミングをずらすか、あるいは完全に何も出さず停止するか、これだけで読み合いを何度も仕掛けられる。そして相手が委縮してしまえば、今度こそ普通にDR打撃を当てに行けるのだ。
また、DR出始めの時間停止で逆に相手の行動をカンニングすることもできる。相手がジャンプしていたら、想定していた技を出すのをやめて対空技に切り替えられる。相手と一緒にDRして2度も時間停止が発生したら、発生の早いコマンド投げでぶん投げることもできる。DRはとても自由度が高いので、上手くなればなるほど更に奥深く使っていけるだろう。
立ち回りでの攻めのみならず、起き攻めでもどんどん使おう。DR慣性の乗った緑色の通常技は、相手に与えるヒット硬直/ガード硬直が4F延長されており、コンボ始動でも攻め展開でも超有用。特に、起き攻めでちゃんと重ねている場合はそもそも相手が割り込む余地がないので、DRのメリットだけが際立つのだ。普段だったら単発ヒットで終わってしまう中段(しゃがみガード不能)技や下段(立ちガード不能)技からもコンボにいけるようになるし、パリィしてたら密着して普通に投げたりと、相手の対応がとても困難になる。
ちなみに、「パリィボタンを押してから前方ダッシュ」ではなく、「前方ダッシュとほぼ同時にパリィボタンを押す」でも生ラッシュが出る。硬直明けで出す際は従来通りのパリィ長押し前連打が出しやすいが、立ち回りで出す際は予備動作が軽減される後者を使うのも手である。
さて、ひとくちにドライブラッシュと言っても2種類ある。ひとつはパリィから出す「パリィドライブラッシュ(生DR)」、もうひとつは通常技をキャンセルして出す「キャンセルドライブラッシュ(キャンセルDR)」だ。生DRのDゲージ消費は1本+α(パリィ展開時間分)だが、キャンセルDRの消費はなんと3本。キャンセルDRを連続で2回使うと即バーンアウトしてしまうほどなのだが、逆に言えばその制約が設けられるほどには強力だということ。ラウンド開始直後やバーンアウトからの回復後など、Dゲージが6本フルにある状況なら使い得である。
いわゆる「中足ラッシュ」というのは、しゃがみ中K(中足払い、略して中足)からキャンセルDRを出すこと。長い下段技なので後ろ歩きに当たりやすいし、ガードされても問答無用で密着して打撃と投げで択が始まる。キャンセルDRももちろん出始めに時間停止があるので、その1発目でヒット確認が可能。キャンセル可能&リーチが長い通常技を把握しておき、その技から攻めてみよう。
キャンセルDRの際は、難しい前2回入力ではなく「レバーニュートラルor前+パリィボタン」で出してみよう。こうすれば牽制技に毎回キャンセルDRを仕込むことができる。しゃがみ攻撃でレバーを下に入れてたり、後ろに入れてガードしながら技を出したりすることはよくあるが、そういった場合はレバーを真ん中に戻してからパリィボタンを押そう。しゃがみ技からの前入れだと、何かしらのコマンド(236の波動コマンドなど)が完成したせいで別の技がたまに出ることがある。なるべくニュートラルを心がけると、他の技に化けず安定するだろう。
3.後ろ歩きに下段が機能(むずかしい)
ベストな間合いを作ろうと、互いにじりじりと前後に歩いて距離を調整する、ストリートファイターらしい地上戦の間合い調節。きっちりと間合いを取られたらこっちの技が当たらなくないか!? と、試合中に軽い絶望感を覚えた人も多いだろう。
しかし、ここで輝くのが下段技。下段技は立ちガード不能、つまり後ろ歩きにヒットするということ。間合い管理のための後ろ歩きが読めた時は、長いリーチの中足や大足を出してみよう。近づいたら下がる癖のある相手には、ガンガン前歩きして大足一閃! すると面白いくらいに当たってくれるはずだ。ガードされたら反撃が確定してしまう大足が何故存在しているかというと、後ろ歩きに先端当てするためなのである。
今作はDRがあるので結構近づきやすいとはいえ、近中距離でしっかりDRや突進技に対応できる相手にはやはり近づきにくいもの。丁寧な前歩きと下段での揺さぶりをしっかりと見せていきたい。上級者がたまにカクカクと「後ろ歩き↔しゃがみ」を繰り返していることがあるが、実はアレは間合い調節と下段ガード(と後ろタメ)を両立させるための行動なのである。
さて、前歩き下段さえ届かない距離まで相手が延々下がり続けてくるとしよう。その場合どうすれば良いか? 答えは明白、じりじりと前歩きで距離を詰めて相手の後ろ歩きを誘発させ、もう下がれなくなる画面端にまで追い込めば良い。精神的に敗北した相手に壁を背負わせたら、思う存分攻め立てていこう。
4.安全飛びにパリィを仕込む(ふつう)
コンボと起き攻めを学ぶと必然的に聞く「詐欺飛び」。ここでは「安全飛び」という呼び方をするとして、とりあえずネットで見かけた安全飛びレシピを練習して使っているという人も多いだろう。
その安全飛びに「パリィを仕込む」という動きを組み込んでいるだろうか。これは、安全飛びあるある「うっかりガードする前に動いてしまう」が起こらなくなりつつ、無敵技をガードした際にDゲージが減るどころか回復するようになる、非常に優秀な仕込みだ。ヒット/ガードの際は「ヒットストップ」で画面が一瞬止まってパリィが出ないが、無敵によってスカった時だけ出る、という原理である。
やり方はシンプル。「ジャンプ攻撃を押した後、着地する寸前にパリィボタンを入力」という具合。着地してから押すとうっかりジャストパリィになってコンボに補正がかかることがあるので、空中に居る間にボタンは押し終えるべし。
昇龍やサマーのような1F対空無敵・OD無敵技がないキャラにはこの仕込みをする必要はない。何故かというと、無敵SAでは最初に暗転が発生するからだ。着地隙で動けない間に暗転しているので、無敵技を出した確認でパリィボタンを長押しするだけで防げるぞ。
1F防御行動であれば、別にパリィでなくとも良い。共通システムであるパリィが一番優秀なだけ。例えばJPはパリィではなくODアムネジアを仕込むことができる。「下J強K→下KK」みたいな感じで入力してみよう。昇龍拳などを防げた場合は、上にカッ飛んだ相手に昇りJ強Kで追撃して、イケてるコンボができたりするぞ。しかし弾無敵はないので、真空波動拳などの弾SAには負けてしまう。バーンアウトしたリュウなどが相手なら、通常パリィを使わざるを得ない。
上で「1F対空無敵・OD無敵技がないキャラには仕込む必要なし」と書いた。正確には、「投げSA3持ちとDゲージの残ったA.K.I.には仕込んではいけない」が正しい。
投げSA3を持っているキャラは、マノン・リリー・ザンギエフの3名。投げSAは暗転タイミングが他のSAと違って攻撃発生の寸前であり、そしてザンギエフのみコンボにほとんど組み込めないかわりに暗転後の「見てから回避」ができないようになっている。
マノンはそもそもOD無敵技なぞないので、初めからパリィを押さなければ良い。SAの種類だけ判断し、パリィとジャンプ(orバクステ)で打ち分けよう。
リリーは1F対空無敵のトマホークバスターがあるのでパリィ仕込みが役立つのだが、SA3が溜まってるときだけはパリィを押さず手動で後ろ入れっぱなしにしよう。SA3を出してくれたら当然ジャンプ(orバクステ)で回避して反撃だ。
ザンギは暗転後回避ができないが、こっちは「バクステ仕込み」をすればよい。無敵でジャンプ攻撃がスカった時だけガードやパリィができること同様に、スカった時だけ回避行動垂直やバクステができる。パリィ仕込みは空中に居るうちに先行入力できるが、ガードは先行入力できずその瞬間に後ろに入れている必要あり。バクステ仕込みは空中で先行入力できるが、ジャンプは先行入力できず着地後に上に入れている必要あり。ジャンプとバクステのどちらがやりやすいかは個人差があるだろう。バクステのコツは、「後ろJ強→後ろ」という感じで、ジャンプ攻撃とバクステの入力を組み合わせることだ。
ちなみにJPは打撃も投げもODアムネジアで両対応。防げないのは2つ、上述の弾SAと、発生の遅すぎる無敵技。といっても発生の遅すぎる無敵技はほとんどないので、基本的に弾SAだけ警戒していれば良い。
Dゲージの残ったA.K.I.に対して何故パリィを仕込んではいけないかというと、このキャラは打撃や弾を回避して位置を入れ替える技「OD蛇軽功」を持っているからだ。安全飛びを普通にすり抜けてお手軽に裏回りしてくるのだが、投げ技は普通に効く。なので、安全飛びに通常投げを仕込むだけで着地後すぐ投げて対応可能なのである。全キャラ共通で通常投げがあるが、発生の早いコマンド投げがあるキャラならそっちを使うとよりお仕置きの火力アップだ。
こういう安全飛びの作法をまとめたページは別で作っておきたいので、それを書きおおせたら追記する。
5.通常投げを出したら、対空の意識を持つ(ややむずかしい)
攻めの中でガンガン通常投げを使っていければ中級者の仲間入り。だが、相手の垂直ジャンプに叩かれて歯がゆい思いをした人も多いだろう。マジで意識してほしい鉄則、それは「通常投げを出したら、対空の意識を持つ」だ。
コマンド投げは失敗動作が長い技(基本的に丸1秒)なのでジャンプ攻撃が確定するのだが、通常投げ失敗時はその半分の隙(0.5秒)しかないので対空が余裕で間に合う。投げ失敗モーションの間に対空技を準備しておけば、相手の甘いジャンプにお仕置きができるというわけ。
相手を掴んで投げが成立しても、投げ成功と投げ抜けのどちらかしか起こらない。垂直ジャンプでの真上への対空と、前方ジャンプでのめくりへの対空、どちらも出せるようにしておけば、投げの圧がとても強くなるはずだ。唯一、中央状況での後方ジャンプにだけ対空が間に合いにくいが、それはもう画面端に近づいてくれているからスルーしておいてもいいだろう。
後方ジャンプには対空が出しにくいもの。モダンなら弾SAを撃って踏ませたりできるが、クラシックでは下手にコマンドを作りすぎると今度は垂直への普通の対空技が出せなくなったりもする。しかも、後方ジャンプ中に出せる空中軌道変化技を持っているキャラなんかは、SAの暗転後に空中で止まったり飛んできたりするので厄介。リーチの長い強攻撃がある場合は、それで叩いてリターンを得ることができる。
画面端での対空は、単に出すだけだと位置関係の入れ替えは防げない。各キャラ、対空キャンセルDRでのくぐりや空中投げなどなど、端維持対空があるもの。自キャラのものを把握して、テクニカルに対空してみよう。
そして防御編へ
ここまで色々と攻撃におけるテクニックを紹介してきた。攻撃編5選は比較的実践しやすいものばかりなので、早速取り入れていくのもさほど難しくはないだろう。ここからは防御編10選、リンクはこちらから。
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